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【小説】69年間待ち続けた男、在る鉄道マンの半生 第59話  

第59話 金造の反旗その2


金三が話を続けた。


『お父さん済みません。でも未來の言ってるとおりなんです、うちの会社は火の車なんですよ』
『何だって、火の車?どうして何だ、そんなこと無いだろ!近鉄さんから直の仕事を貰っていて!』
『それが、問題なんです』
『どういう事だ?』
『最近、資材交渉が厳しくて。近鉄社内で大幅な予算カットを要求されているとかで、”どちら様にもかかわらず、見積もりから3割値引きでお願いします”。とこうです』


『なんだって?ソンナじゃヤッテけないじゃないか!そんな仕事断ればいいじゃないか!?』
『ところが、”大手のゼネコンが何処も引き受けてくれないので、鉄路さん是非お願いします!”って言われて』
『お父さん、うちが何とかやって行けているのは、ゼネコンさんがくれる下請け仕事と、お父さんが手を引いた”鉄路建設”さんがくれる仕事のおかげなんですよ!』


『鉄路建設の下請け仕事?』
『鉄路建設さんが仕事をくれなかったら、家なんかとっくにつぶれてますよ!』
『そんなにひどいのか?』
『だから、今度の話も、鉄路建設さんが、うちの窮状を察して持ちかけてくれたんですよ!』
『そうだったのか…』
『受注金額が落ちているのに、お父さんが、駄目だと言うから、アウトソーシングも使えないし』
『アウトソーシング、あんなもの昔の手配師じゃないか!』
『でも何処でも、人件費を落とすため、アウトソーシングで必要人工の波を吸収して要るんですよ。お父さんが社員でまかなえって言う物だから、常時必要な人員より多い社員抱え込んで、仕方ないから資材置き場の整理や現場で雑用させたり、挙げ句のはては談話室で待機させたり、よその会社より人件費が掛かりすぎてるんですよ!』


『…』
『僕も辛いですが、もうどうにもヤッテけません、今回はワガママを通させていただきます。』
『社長を譲ったんだから、好きなようにしたらいいじゃないか…、でも風呂だけは置いといてくれ、それともう少し待ってくれ、ワシが一度近鉄に行って話してみる、今の資材部長は確か篠田君だったな?』
『ハイそうです』
『篠田君なら、彼が徳島から出てきて近鉄に入った当時からの古いつき合いだ、話せば判ってくれるかも知れない』
『ハイ…』


徹路は、時代の流れというか、自分の時代は過ぎ去ったというか、何とも言いようのない、やりきれない気持ちになった。

|<続く>
[2008/03/18 19:12] 鉄道小説 | TB(0) | CM(0)

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