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【小説】69年間待ち続けた男、在る鉄道マンの半生 第49話  

第49話 国分新社長誕生


1985年(昭和60年)5月近鉄に新社長が誕生した、若干45才の若さであの国分太郎が近鉄本社の社長に就任したのである。


彼は、近鉄グループ各社を渡り歩き、行く先々で、斬新なアイデアと実行力と勘の良さで、高度成長期を通じて、グループ各社の飛躍的な躍進に貢献した。元々生まれ育ちの良い彼は財界に多くのパイプを築き、45才の若さで、押しも押されもしない関西財界の実力者になっていた。
その彼が、徹路の前に近鉄本社の社長となって帰ってきたのである。


有限会社鉄路設立以来8年間、発展を見守ってくれ、後ろ盾になってくれた、佐治社長は会長に退くことになった。


徹路は早速本社に表敬訪問に出かけた。上本町にある近鉄本社ビルには、多くの取引先が面会を求めて駆けつけていた。


2時間待って、分刻みのスケジュールで、挨拶回りをしている、国分新社長にお目通りが敵った。


『国分社長おめでとう御座います。』
『布施さん、お久しぶりです、わざわざお越しいただいて有り難う御座います。』
『こちらこそ、お忙しいのに、お時間戴いて有り難う御座います。』
『わざわざお越しいただいたのに、ゆっくりお話も出来なくて申し訳ありません本部長』
『イヤですよ、私はもう近鉄の人間ではありませよ社長』
『…そうでしたね、いや私の中では布施さんは何時までも本部長ですから』
『有り難う御座います、社長から有り難い励ましのお言葉を戴いて、これからも近鉄さんの為に頑張らせていただきます。』
『こちらこそヨロシクお願いいたします。』
『社長、もうお時間が…』
『判った』
『布施さん申し訳ありません、ご覧の有りさまで、又何れ私のほうから、ご挨拶にお伺いいたします。』
『とんでもない、私の方こそお時間拝借しまして有り難う御座いました、失礼いたします。』
『わざわざお越しいただき有り難う御座いました。』


社長室を出た徹路は、帰りに、佐治会長の部屋にも立ち寄らせて貰った。秘書に案内され会長室に入った。


『ご無沙汰いたしております、布施で御座います。』
『久しぶりだね布施君、よく来た、まあ掛けたまえ』
『有り難う御座います』
『重役就任を断って、作った”鉄路”はどうかね?』
『有り難う御座います。おかげさまで沢山お仕事を戴いて、社員一同喜んでおります。』
『そうか、それは良かった』
会長は満面に笑みを浮かべながら、しばし徹路と昔話にふけった。
帰り際、に”これからも、国分君のことを宜しく頼む”と言われ
自ら会長室のドアを開けて見送ってくれた。
思えば、これが会長とゆっくり話を出来た最後の機会であった。


<続く>
[2008/03/09 17:08] 鉄道小説 | TB(0) | CM(0)

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