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【小説】69年間待ち続けた男、在る鉄道マンの半生 第43話  

第43話 布施駅立体交差事業完成


同じ1977年(昭和52年)の6月、徹路が最後に手がけた大事業、布施駅周辺の奈良線、大阪線の連続立体交差事業が完成した。


2階がコンコースで大阪線が3階、そして奈良線が4階、共に通過線を持つ巨大ターミナルである。


建設前には、中央2線の通過線を持つ北側4線が奈良線、南側2線が大阪線の広大な平面駅であった。
此処に列車を通過させながら、奈良線の下り側から上層部に上げていく大工事であった。
近年の東京で言えば、赤羽駅や、北千住駅の立体化工事と同じような手法である。勿論この手法も近鉄が先鞭を付けた。


徹路は祝賀会に来賓として招待された。

同じく来賓として、阪神電鉄社長西宮鉄朗の姿が有った。


『布施さん、お久しぶりです。この度はおめでとう御座います。』
『有り難う御座います、また先日は娘の祝いに結構な物を頂戴しまして有り難う御座いました。』
『いえいえ私こそ、娘さんの結婚式に招待されながら、出席出来ずに申し訳ありませんでした。』
『いえいえ、西宮さんはお忙しい体だし、名代の方までご出席いただいて、娘も喜んでおりました。』
『いやとんでもない、それにしてもこれほどの大工事事故もなく無事完工おめでとう御座います。』
『いやいや、私はもう退職した身の上ですから』
『そうでしたね、”鉄路”の案内状拝見しましたよ』
『イヤー、恐縮です』
『好く決心、なさいましたね』
『いや、結局は、土建馬鹿なんですよ』
『そんなこと有りませんよ』
『取引先から聞いていますよ、大学教授の話も含めて、いい話を全てお断りになったそうですね』
『いやいや、お恥ずかしい次第です。』
『それでお仕事は順調なんですか?』
『いやそれが、実は会社を登記しただけでまだ何も始めておりません』
『そうなんですか、でこれから…』
『ハイ、今年の秋口位から、ぼちぼち動き出そうかと。今準備をしている所なんですよ』
『そうですか、動き出したら、是非内の仕事もお願いします。』
『有り難う御座います、ですがまだまだ、当分は近鉄さんにご厄介になるつもりでおります。』
『そうですか、僕が在職中には、必ず難波まで行きますし、その時は、助けてください』
『助けるだなんて、とんでもない。小さな会社ですから孫請けのお手伝い程度しかできませんよ。』
『その時は是非おねがいします、ワハハ…』


徹路は、この時阪神ナンバ線は相当先になりそうだと感じた。


<続く>
[2008/02/06 21:01] 鉄道小説 | TB(0) | CM(0)

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