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【小説】69年間待ち続けた男、在る鉄道マンの半生 第10話  

第10話 名古屋線工事現場出張

4月1日、真新しい背広にワイシャツ、ネクタイ姿に杖という出で立ちでアベノ橋の近鉄本社に出社した。


戦時中でもあり入社式もなく、出社早々、先刻の杉山主任から真新しい作業服、安全靴、ヘルメット、を渡され、一通りのレクチャーを受けただけで、技術部に案内された。


技術部の奥の机に、山本部長がいた。
『布施君を、お連れしました。』
山本部長に案内すると杉山はそそくさと去っていった。


『お早う御座います。ヨロシクお願いします。』
『待ってたぞ、布施君』
『早速だが、君の上司を紹介する。』
『名古屋君来たまえ』
『はい、お呼びですか』
『紹介する今日から働いて貰うことになった、布施君だ当分君の所で預かってくれたまえ』
『初めまして布施徹路と申します、ヨロシクお願いします。』
『名古屋です宜しく』
『名古屋君後は頼むぞ、ワシは社長に呼ばれているからチョット出かけてくる』


山本部長は、そそくさとこの場を離れていった。


名古屋課長は部下十人ほどの建設課の課長だった。
徹路は、課長を頭に、向かい合った席の一番入り口よりの席を与えられた。4月1日だというのに課長以外は誰もいなかった。


聞けば、係長以下は、建設現場事務所に所長やスタッフとして出向いているとのことだった。


課長から、早速明日の午後から名古屋線の改良工事の現場に2週間ほど出張するように指示を受けた。そして、”目を通しておくように”と分厚い建設仕様書、要領書、を渡された。
隣の設計課や、車両技術課は、一日中、電話が鳴り響いて、忙しそうだった。


この日は、出張の用意もあるだろうと、4時頃には帰宅を許された。
”歓迎会でもあるかな”と少し期待はしていたが、拍子抜けだった。


翌朝、リュックに着替えや、身の回り品を詰め込んで、本社に出社した。
その朝、経理課に立ち寄って仮払いを受け、名古屋に向かって出発した。


<続く>

[2007/12/16 15:04] 鉄道小説 | TB(0) | CM(0)

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